栂海新道ものがたり その自然と人々

書籍紹介

「日本海の親不知海岸から富山県境の朝日岳までの約27kmを結ぶ「栂海新道」を切り開き、日本アルプスへの縦走を可能にした著者と仲間たちの、夢と苦難の物語」
栂海新道と小野健さんの関わりは知っていたが、半世紀以上の超長期間に及ぶ壮大な情熱と努力であったとは知らなかった。

以下、「栂海新道の維持と今後の課題」より抜粋

『10年の歳月をかけて開設した栂海新道は、当初、登山者も少なく踏跡も付かない伐り通しで、3年も放置すると切株から小枝が繁って道型が消えてしまった。開通時8名いたメンバーは5名に減少し、職場の仲間や会友の支援を受けながら、再生の著しい登山道の整備を続けてきた。5~6名の会員で、全コースを整備するのに3,4年を要した。やぶがひどくなると、整備には時間と労力がかかり、進行が気になって雑になってしまう。すると、次回の整備作業がさらに厳しくなっていく。』

『それでは、今後、栂海新道・山荘の維持管理をどのように進めていけば良いのか。さわがに山岳会および協力グループの継続体制をどのように育成していけるか。一般のボランティアグループを募って、広域的にボランティアグループの組織を立ち上げる。また、市に維持管理を移管して行政主導で行う方策もあろうが、すぐ実現の可能性は低い。とにかく、作業場が山中にあるから、作業者は現地まで登山できる特定な人に限定されてしまう。

・・・中略・・・

次世代のやぶ刈り隊が現れなかったら、昔のままに自然還元するのも、選択肢の1つであろう。3年間手入れしなければ、やぶは道型を覆って再生してしまう。

・・・中略・・・

いつか、廃道に帰したとき、半世紀以上にわたって登山道・山小屋の開設整備に情熱と労力を傾注してくれた大勢の人達の汗の結晶はどう消化されてしまうのだろうか。また、長丁場の栂海新道を完歩して、日本海に飛び込んだあの感動を引き継がれなくなるのも、また寂しい限りである。他力本願は好みではないが、願わくば次世代の栂海新道を守る会が誕生していくことを切に夢みたい』

栂海新道に限らず、地元山岳会や有志によって伐開、維持管理されている登山道は多いと思うが、その労力に感謝の気持ちを持つことと、自分に出来ることは何かということも考えなければと思う。
なお、小野健さんは2014年3月17日に亡くなられたそうです。

[参考] 講演会の記録
日本山岳会岐阜県支部ホームページより

[演 題] 北アルプス朝日岳と日本海親不知を繋ぐ
[講 師] 栂海新道開設者  小野 健 氏

購読日 2014年7月
おすすめ度 ★★★★★

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