「岳人」誌の90年代後半に掲載された「すぐそこにある事故」を中心に山岳事故12例を紹介。「すぐそこにある事故」は当事者自らが事故を分析しまとめたレポートで、極寒ビパークでの心境や、いかにして困難を乗り切ったか自らの言葉で綴られているため、役に立った装備、考え方や判断は勉強になり納得感もあった。
・山岳遭難は、どんなしっかりした登山グループでも大自然の驚異の中で、時に不可抗力のような形で発生する。
・生還してきた人々は、単に幸運だったから下山できたのではなく、アクシデントに遭ったものの、幸運を呼び込むだけの知識とトレーニングを普段から実践してきた成果がそこに現れている。
主な生還のポイント
・岩陰で雨をしのぎ身体を濡らさなかった(低体温症の防止)
・汗をかかない(冬山)
・体が温かいうちに予備の手袋、靴下に交換。脱いだものは懐に入れるか尻に敷いて凍らせないようにした。乾いた衣類は防水性のある袋に入れてザックに保管。
・無闇に動かず極力無駄な行動をしない
一方で『体力のあるうちに好条件のビパーク地まで降りる決断をした』という事例あり。不用意な行動は危険と認識した上で、最も合理的で最善の方法を考え抜いて行動するということ。
・アマチュア無線機の活用
・バーナーの所持(お湯を飲む、衣類を乾かす、体を温める)
・メンバでまとまって行動(相互に助け合う)
・発見され易い努力と工夫
購読日 2013年4月
おすすめ度 ★★★☆☆
山の遭難 生きた、還った―セルフレスキューの秘訣
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