東北初の100マイルトレラン大会のボランティアに参加。100マイルは160kmである。実にフルマラソン4回分、累積標高8300mはほぼエベレスト8849mで、これを46時間以内にゴールする。
過去にフルマラソンは4度完走、登山や自転車でもタフな行動をしてきたが、想像を超える過酷さと思った。このような大会にどんな方々が参加し、どのような精神状態で大会に挑んでいるのか。そして、まだ寒いこの時期に休憩5時間で夜通しボランティアする人はどんな方々なのか。この興味から参加を決めた。

1周16.1km、累積標高830m
トレイル率70%(舗装路5km)
エイド1ヶ所
出場者 286名(4部門合計)
02/28 13:00 100マイルスタート
03/01 06:00 112kmスタート
09:00 80kmスタート
10:00 16kmスタート
02/28 晴 1~10℃ 風速3m/s
03/01 晴 5~17℃ 風速10m/s
03/02 晴 2~16℃ 風速6m/s

エイドのボランティアは写真①に設置されたテントで活動。
駐車場は②で2晩ともここで車中泊した(①の黒く見える建物に仮眠室とシャワーあり)
【エイドボランティア内容】

3/1 0:30
100マイルは前日13:00スタートのため、私のボランティア開始時にはエイド環境は仕上がっていた。

直径1mはあろう大鍋の豚汁。具材は豚肉、大根、ネギ、油揚げ、ニンジン、こんにゃく、シイタケで、味は味噌。肉以外は事前にスタッフでカットした(と思う)。期間中、3杯分を準備して全て使い切った(油揚げは残ったかも)

こんな感じで提供♪

エイド食。パンは特別協賛のあおばずんだ本舗のずんだパン。少なくなったら、段ボールから取り出して補充する。水分はポリタン2台のミネラルウォーターとアクエリアス、コーラを提供。差し入れや途中買い出しで、カルピスウォーター、ジンジャエール、午後の紅茶、麦茶を提供。
水以外で人気があったのはアクエリアスとコーラ、麦茶。麦茶は選手のリクエストから買い出しして、中盤以降に提供開始した。ポリタン1台に水出しパックを投入する形。
同じ味は飽きるらしく、特に終盤、シンドイ時間帯は種類が多い方が喜ばれた。気分転換になるそう。

おにぎりは炊いたご飯を型に入れて押し固めて手作り。ふりかけで味付けしている。

塩昆布、バナナなど。バナナは包丁で4つにカットし、皮をむき易いように切れ目を入れる。

女川汁はサンマのつみれ汁のこと(写真撮り忘れ)
写真はツール・ド・東北の女川エイドで撮影したものだが、具材と味付けは同じと思う。こちらも大鍋で準備した。調理は業者が張り付いて担当。具材が煮込まれ過ぎないように小まめに具材追加していたので、ネギの食感もあって、メチャクチャ美味しかった。
エイド食はこの他に、カレー(カレー店からの購入品)、うどん、カップスープ、インスタントコーヒー。うどんは麵つゆ味の提供だったが、豚汁、カレー、つみれ汁、をかける形でも提供した(選手からのリクエストが発端)。
提供食の中には、1人〇個まで、〇杯まで、といった制限をかけたものもあったが、消費予測を踏まえて緩和し、中盤からは無制限になった。

HALEO仙台のサプリメント。メーカースタッフが常駐し無償提供。

中学生女子選手の差し入れ品。前日に500個作成したとのこと。感動! 彼女はトレイル愛が滲み出る明るい元気娘で、女子16kmで優勝するほどの実力があり、将来の目標は須賀さん(今回のプロデューサーで日本を代表するトレラン選手)のように、トレラン大会を主催することだそうだ。楽しみである^^
【レースの様子】

スタート/ゴールゲート
3/1明け方は10m/sの強風だった。風圧自立式のゲートが飛ばされる勢いでなびき、そして傾き、男性総動員で調整する事態となった。私が動員されている間、エイドもヤバかったらしく、食料が吹き飛び、テントも飛ばされそうだったらしい。エイド提供が困難な事態。10数分で収まったが、天候は空や気温だけでなく風速も重要と思った。強風予報の場合、提供場所や提供の仕方をどう変えるか、対処方法を事前に決めておくと良いかもしれない。

3/1 6時00分 男子112kmスタート
ここまでで6時間の作業が終了。まずは心地よい疲労感だった。自宅仮眠1.5Hなのに睡魔が来なかったのは、ボランティアやランナーの方々との話が新鮮で面白かったからだろう。
エイドのボランティアは全員、ロングトレラン、ウルトラマラソン経験のある30、40代中心(推測)で、ボランティア好きというよりも長距離ラン好きな方々だった。「別の大会が近いので今回はボラで来ました」という男性は、マラソンはサブ3で卒業。その後はウルトラ中心で最長は200kmとのこと。トレーニングは月間300km走るらしい。距離に驚いていると「特に多い方ではないですよ」とのこと。数名いた女性も「トレランはまだ40kmが最長なんです~」的な感じで、難易度に対する一般感覚との乖離が面白かった。自転車のブルベと同じである^^
また「あ、どうも。お久しぶり~」の挨拶がやたら多いのにも驚いた。全員知り合い?状態(笑)競技人口が少ないからか、今回が東北初の100マイルレースで全員集合状態だからか。過酷が故に、同じ限界を体験すると心の結び付きも強くなり、知り合いになり易いのか。

3/1 18時(100マイルスタートから29時間)
日が暮れるここからが試練のスタート。コースからゴールしたランナーが減り、声援も少なくなることで、紛れていた疲労が顕在化する。それでも22時頃までは笑顔があるが、その先は本当に辛そうだった。周回する度に話をした100マイル男性は7周目で脚が完全に止まり、ラスト3周は走ることが出来なかったそうだ。16km×3周=48kmはフルマラソンよりも長い。思考が鈍り、幻覚を見ながらのフル歩きは10時間近くかかったと思う。限界に達してからの10時間行動。マジか…。高速で駆け抜け爽やかにゴールする上位ランナーも凄いが、私は、自分限界を超え這いつくばってゴールを目指すランナーに、より強く心を打たれた。
時間はかかるがゴールまで元気な方、「限界を超えてからが勝負」「幻覚は見て当たり前」という限界超越系の方、これに、ケガの有無や家庭や仕事の事情などのパラメータが加わって、ランナーの数だけレースにかける想いと戦略、ドラマがあり、実に奥が深いと感じた。

男子100マイルの上位入賞者。Congratulations!

大会プロデューサー須賀さんの挨拶。東北初の100マイルレースの熱い想い、そして女川町や選手、関係者への感謝が語られた。「100マイル完走は多くの努力と我慢、家族の協力で成り立っている」は言葉以上に体に染みるものがあった。
因みに須賀さんは仙台泉ヶ岳トレイルラン(男子25km=最長距離)で優勝している。

10時半過ぎ、予定より数時間早く業務終了。疲れはしたが清々しい気分だった。間違いなく過去イチで楽しく充実したボラだった。
【まとめ】
東北初の100マイルトレラン大会のボランティアに参加。フルマラソン4回分、エベレスト同等の獲得標高を走る過酷なレースを通じて、アスリートの精神性や、それを支えるボランティアのホスピタビリティを感じることが出来、有意義で、感動もし、貴重な体験となった。第2回も開催されるなら、是非ボランティアで参加したい。
おまけ
【女川観光】

シーパルピア女川。ライドで来ようと思って昔調査した施設。先に車で来てしまった(^_^);

みなとまちセラミカ工房。スペインタイルを用いた装飾タイル。販売だけでなく絵付け体験も出来る。優しく柔らかみあるデザインに強く惹かれてしまった。結婚30周年(2029年)にプレート作るかな^^

シーパルピア女川内の建物の基礎部分には何枚ものスペインタイルが貼られている。セラミカ工房の体験コースで2枚作製して1枚を寄附すると、貼ってもらえるらしい。良い思い出になりそう^^

スパイスカレーの専門店 SPICE CURRY Blue Coral Reef で昼飯。左側がバターチキンカレー、右側がビーフカレー。どちらも濃厚で本格的な味だった。

JR女川駅

女川駅の前面にある足湯。高め温度が気持ち良かった^^
駅舎には温泉もあり、屋上は展望スペースになっていた(津波の避難場所かも)。

ボランティア活動の謝礼でもらった地域振興券で購入。ボランティアと言っても個人的な趣味で家を空けている為、妻好みの品々を購入した(超重要)
【時系列】
01/06 河北新報にボランティア募集を発見
Googleフォームよりエイド希望で申し込み
01/28 参加確定。LINEグループ登録
02/04 役割決定(エイド)
活動可能日時3/1 AM0時~3/2終日で連絡
02/17 LINEで資料受信(10ファイルのpdf)
02/20 エイドマニュアル受信
02/25 全資料VerUP受信
~ 抜け漏れ等細かな調整
03/01 AM0時ボラ開始
03/02 10時半ボラ終了
【ボラ活動】
02/28 1800 会社から帰宅
2000 仮眠
2200 自宅出発
2330 現地着
03/01 0000 ボラ開始(6H)
0600 休憩開始(5H)
1100 ボラ再開(18H)
03/02 0500 休憩開始(5H)
1000 ボラ再開(1H)
1100 ボラ終了
女川観光
1530 帰宅
【服装】
夜~朝
下半身:パンツ、タイツ、裏起毛ジャージ、厚手靴下
上半身:半袖シャツ、薄手長袖、厚手長袖、厚手ダウン
その他:ネックウォーマー、テムレス手袋、カジュアル靴
日中
下半身:同じ
上半身:半袖シャツ、厚手長袖、1枚生地山用アウター
*寒さは感じなかった
*カジュアル靴で寒くなかったためハイカット登山靴は未使用
*下半身は寒くなく雨も降らなかったため山用レインウエア(ズボン)は未使用
【役立った物】
・アイマスク
睡眠は朝、明るくなってからだったため、目元を暗く出来て快眠に役立った
・ウェットテッシュ(体用)
前日夜に自宅で風呂したため初日作業後はウェットテッシュで体を拭くだけにして睡眠を優先した
・ネックウォーマー
首元を温めると体の冷えが抑えられる
【大会公式HP】
https://onagawa-100trails-running.com/

関係者集合写真
また来年お会いしましょう!
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