槍ヶ岳~西穂のバリエーションルートへの挑戦。金曜日の有給も取れてさぁ出発という最終段階で予報が悪化。2日間とも晴れ一時雨所により雷になってしまった。稜線の状態や混雑状況まで確認したというのに…。国内屈指の難所しかも標高3000mの岩稜での雨と雷。かな~り迷って変更することに。
候補は未登頂の南・中央アルプスの百名山と北アルプスのロング縦走。予報の良い後者とし、以前から温めていた飛越新道からの雲ノ平、水晶、鷲羽、黒五の時計回りの周回ルートに決めた。日本最後の秘境と言われ一度見てみたかった雲ノ平、昨年登頂出来なかった水晶岳など55km以上の縦走山行。終わって見れば完全燃焼だった。
過去の山行記録
2011/08/27 35.鷲羽岳(1泊2日テント泊)
2010/06/05 20.薬師岳・黒部五郎岳登山(小屋1泊)
■メンバ 単独
■行程 2012/07/27-29 2泊3日
■初日 2012年7月27(金)晴 13℃~
05:06(1405m) 飛越トンネル
08:06(2042m) 北ノ俣避難小屋
10:01(2661m) 北ノ俣岳山頂
11:23(2345m) 太郎平小屋
13:39(1931m) 薬師沢小屋
16:24(2558m) 雲ノ平山荘
16:59(2565m) 雲ノ平テント場
累積標高差 +2377m、-1217m
時間 11時間52分
距離 23.7km
■2日目 2012年7月28(土)晴→ガス→晴 13℃~
04:08(2564m) 雲ノ平テント場
05:31(2825m) 祖父岳
07:31(2986m) 水晶岳
08:13(2910m) 水晶小屋
09:55(2924m) 鷲羽岳
10:48(2567m) 三俣山荘
12:00(2841m) 三俣蓮華岳
13:39(2360m) 黒部五郎テント場
累積標高差 +1332m、-1535m
時間 9時間31分
距離 15.7km
■3日目 2012年7月29(日)ガス→晴 15℃~
03:17(2353m) 黒部五郎テント場
05:11(2839m) 黒部五郎
08:15(2661m) 北ノ俣岳
09:26(2056m) 北ノ俣避難小屋
12:39(1463m) 飛越トンネル
累積標高差 +1159m、-2049m
時間 9時間21分
距離 18.1km
■初日
出発直前のゴタゴタで21時半と出遅れ、登山口のある飛越トンネルに着いたのは午前1時。初日は地図タイム13時間と長い行程なのに…と思いながら3時間仮眠する。小さな星屑までハッキリ見える綺麗な星空だった。
05:06(1405m) 飛越トンネル登山口
飛越トンネルは有峰林道東谷線の南側ゲートすぐ手前にある。国道41号から峠道を30km1時間とアクセスは悪いが、ゲートの手前のため通行料金1800円がかからないのが魅力^^ 登山届けを投函し5時6分飛越新道から入山する。
写真は登山口の様子。駐車30台、簡易トイレ、登山ポストがある。
06:34(1836m) ニッコウキスゲ
初日のルート上には水場が点在するため担いだ水は1.5リットルと普段の半分以下。ザックは15kgと軽めで寝不足感も無く足取りは軽い。満開のニッコウキスゲに癒されながら高度をあげた。気温13℃ここに下界の猛暑は無かった。
08:04(2043m) 北ノ俣避難小屋
神岡新道の分岐点から寺地山ピークまでは「ぬかるみの道」で油断すると軽く10cmは沈む悪路だった。木道も湿気を帯びてスケートリンク状態、平坦路ながら意外と要注意な山道。ミズバショウが自生しているので普段から水気の多い場所なのだろう。ズボンの裾を汚したくなければスパッツ装着がオススメ。
出発から3時間で避難小屋着。ルートを南に2分ほど外れた樹林帯に佇む小舎は広さ6畳ほどと狭いがトイレと流水の水場があり利用価値は高い。ここで顔を洗い水を補充した。
08:30(2122m) 池塘
避難小屋の先は木道の広い草原で日差しを遮るものは無くとにかく暑い! 汗かきまくり大会。池塘ゾーンを過ぎれば地図タイムで残り1時間のガンバである。
09:52(2635m) 薬師岳
出発から約5時間で稜線に出た。ここで眺望が一気に広がり左に薬師、正面に水晶、鷲羽、右には黒五と素晴らしい。やはり山は好天の日に限る。
10:01(2661m) 北ノ俣岳山頂
地図タイム6時間を5時間で登頂。テントを担いでいるので良いペースである。薬師をバックに記念撮影し休憩もそこそこに太郎平に向かう。今日はここから雲ノ平テント場まで地図タイム7時間ちょいの歩きが待っている。ワイルドだろぉ~♪
10:19(2588m) 残雪とお花畑
北ノ俣岳-太郎小屋間の稜線にて。
11:23(2345m) 太郎平小屋
予定より30分ほど遅い到着。ここで大休止。水場は使い放題の流水ありがたく顔を洗わせてもらった。水の補充、行動食、行程確認など30分ほど休憩し後半戦のスタートである。
太郎小屋は30人以上の登山者で溢れかえっていた。今シーズンは天候が悪くようやく人が増え始めたところだそうだ(小屋の方談)。
15:47(2467m) 庭園
太郎小屋から左俣出合、薬師沢小屋までの炎天下歩行もキツかったが、ハイライトはその先の標高差400mの直登だった。地図タイムで2時間10分。テント装備を担ぎで既に8時間以上歩いた足での這う様な登りに全身滝のような汗。人が全くいなかったこともあり1時間半で登り上げたが今日一番の試練、精神的にもキツイものがあった。上部に出てからはアラスカ、アルプス、ギリシャの各庭園を観賞しながらの木道歩き、程なくして雲ノ平山荘に到着。テントの受付をする。
期待していた庭園は「素晴らしい風景の木道路」という範疇で、素晴らしいのだが「他の山よりも突出して素晴らしい」とは感じなかった。花の見頃時期との関係もあるだろう。
16:59(2565m) 雲ノ平テント場
初日ゴール! 出発から12時間、23km、累積標高差+2377m、-1217m テントを担いで随分歩いたものだ。膝痛などトラブル無く完全燃焼の一日だった。
テント設営後、使い放題の流水の水場で体を拭きさっぱりしてから夕食とビール。気温20℃の涼しさ気分爽快で気持ちいいなぁ~と行きたかったが、ブヨに20箇所以上刺されてもう勘弁して状態。食事後、登山者と話すことも無くテントに撤退した。夕方以降立ち込めたガスで日の入りは絶望的こんな夜はゆっくり体を休めるが正解だろう。明日の行動確認と読書で過ごし3時に目覚しをセットして19時半に寝袋に入った。
■2日目
04:43(2631m) 残雪トラバース
3時目覚し一発起床。小川のせせらぎが心地よく眠りが深かったせいかあっという間に朝が来た感じ。体調も良好。昨夜に続きインスタントラーメンを食べて4時過ぎ出発する。
今日は祖父岳を経て昨年敗退した水晶を登頂し、ワリモ岳、鷲羽、三俣蓮華とやって黒部五郎小舎のテント場がゴール。地図タイム8時間半と前日の同13時間よりは遥かに短かく気が楽である。早めにゴールして夜露でずぶ濡れのテントを乾かしたいところ。
05:31(2821m) 祖父岳
出発時刻の4時はまだヘッドライトが必要な時間だが、自分より早出の登山者は意外と多かった。残雪トラバース(写真)を経て祖父岳山頂着は5時半。ガスは常に形や大きさを変え時折下方まで降りてきて辺りを真っ白に包む。山頂ではガスにやられた。
06:12(2774m) 祖父岳稜線
ワリモ北分岐から祖父岳を振り返る。残雪が綺麗な稜線である。
07:31(2986m) 水晶岳山頂
雲ノ平から約3時間半で水晶岳登頂。百名山はこれで47座目、北アルプスは15座全ての登頂を果たした。近場を登りつくしたので最近はスローペースだが「いずれ登覇」という気持ちで行きますか。
さて、水晶小屋から山頂までだが3点確保が必要な険しい岩稜のためザックとストックは小屋にデポし身軽でアタックするのが正解だろう。自分はデポ嫌いなのでザックを担いだが、登山者の大半はデポしていた。
水晶小屋は非常に小さい! 定員は30名だそうだ。しかしこんな北アルプスの山奥でありながら、ハイシーズンの土日は布団1枚に2~3人寝ることも少なくないようだ。因みに昨夜は1枚に2人寝、今晩は3人寝だそうだ。水晶小屋で登山バッチを購入。
08:29(2868m) 雷鳥
体がパンパンに膨れ上がった雷鳥を発見! 動きも遅いのでお腹に卵が入っているのかも。ストックで触れる至近距離でも逃げないとは随分おっとりしてますな。
08:43(2803m) お花畑
水晶小屋からワリモ北分岐ルート上のお花畑。初めて見る花だった。
08:46(2805m) 水晶岳稜線
1時間前の深いガスが切れ水晶山頂もご覧の状態。北に位置する赤牛岳、その先に伸びる読売新道の眺望を逃した事を思うと少し悔しいが山の天候は変わり易いものである。
09:20(2883m) 薬師を望む
ワリモ北分岐-鷲羽ルートからの薬師岳。薬師の手前の谷は黒部川が流れている。水晶から三俣山荘へは鷲羽山頂ルートと黒部川源流ルートがあるが後者は「黒部源流」の標識があるだけという情報から前者を選択した。黒部源流も興味があるが稜線歩きは捨て難い。
09:21(2882m) 読売新道、裏銀座縦走コース、竹村新道
水晶小屋から左に伸びる稜線が読売新道で黒部湖へ、水晶小屋から右に伸びる稜線は真砂岳で2つに分岐し北は裏銀座縦走コースで針ノ木を経由し2年前の五竜・鹿島槍、更に2週間前の白馬・唐松の稜線に繋がっている。山を線で登るようになると山同士の繋がりや大きさを実感出来る様になり楽しみが一層深まる気がした。
09:33(2836m) 鷲羽岳稜線
本ルートには地図に「危」と記された岩場の難所があるが3点確保で落ち着いて対応すれば問題ない。違和感を感じたら道を間違っている可能性があるので少し戻って道標を確認する。
09:55(2924m) 鷲羽岳
眺望バッチリの鷲羽岳山頂には雲ノ平出発から6時間を要した。槍ヶ岳は穂先が見える好天、西穂への稜線も雲がかかったり消えたりする程度なので計画変更は不要だったかもしれない。まぁ結果論である。
10:07(2926m) 鷲羽池と槍ヶ岳
登山者で混雑する山頂を出発。三俣山荘へ稜線を下ると左手に写真の風景が見えてくる。槍ヶ岳は双六、三俣蓮華へと稜線が繋がっているのだが、双六から槍を目指せば穂先が視界に入り続ける稜線歩きとなり実に興味深い。新穂高温泉からの槍もやったことが無いので優先度を上げますか^^
10:10(2897m) 三俣蓮華岳
残雪が美しい。写真中央の三俣山荘はテント場に流水の水場があるので、炎天下で汗だくの全身を拭いてスッキリしよう。
11:54(2801m) 丸山の残雪とお花畑
全身スッキリついでに食事休憩して三俣蓮華岳へ向かう。
12:00(2841m) 三俣蓮華岳
ここまで約8時間、昨日の疲労が蓄積しているのか最後のガレの登りは足が重かった。山頂では靴下を脱いで圧迫から開放、至福のひと時を過ごす。近くの登山者からも「あら、いいわねぇ~」と声がかかる^^
ところで今回新調したズボンは膝から下をチャックで切り離し半ズボンになるタイプ。試してみると足元が涼しくて実に快適だった。長ズボン状態でも歩き難さはなかったので意外とオススメです。
12:52(2672m) 三俣蓮華岳から黒部五郎小舎へ
さぁ最後の下りです。小舎は三俣蓮華と黒五のコルにある。
13:39(2360m) 黒部五郎テント場
出発から9時間半でゴール。今日もよく歩きました。双六のテント場は大混雑と聞いていたので心配したが、10張り程と空いていた(最終的には20張りぐらい)。夜露でずぶ濡れのテントは乾いた空気と強い日差しでものの10分で乾燥、丈夫で軽量に加えこの速乾性能、実に素晴らしかった。
水場は流水の使い放題タイプだった。遠慮なく豪快に使えるのが嬉しい。頭と顔を洗い全身を拭いて身も心もリフレッシュ。最高ですね。ついでにシャツとパンツも洗い岩の上で乾かす。
テント場は平な硬い地面で条件はかなり良い方。水場も良く、小舎(トイレ)も歩いて2分と近い。稜線ではないのでご来光と日の入りの質は落ちるが南側正面には笠ヶ岳がデカク眺望もまずまずと思う。
生ビールを飲み、登山者とお話して緩やかな時間を過ごす。夕食はインスタントラーメン。しょうゆと豚骨の2種類をもってきたが流石に飽きますね^^ 翌日の行動を確認して19時就寝。
因みに翌日は2時起床、3時出発の計画。黒五にはカールルート(地図タイム2時間半)と稜線ルート(同3時間)があるが、今回は一般的ではない稜線ルートとし途中でご来光を見る目論見。登山口は前者は小舎の前、後者はテント場の入り口、と異なるので暗いうちに出発する場合は事前確認が必要。
■3日目
04:24(2639m) 暗闇の黒五
昨夜は22時頃まで話をしているパーティが2,3組いて若干煩かったが当方は当方で2時起床どっちもどっちだろう。20時頃に降った雨も止み空の一部には星も見える朝である。飽きたインスタントラーメンを再び食べ3時17分稜線ルートに取り付く。
雨と夜露で両脇の草はビッショリ。登山道には雪解け水が流れスパッツが大活躍した。取り付きの急登が終わると残雪歩きが増えヘッドライトで踏み後を探しながら高度を上げる。明ければ問題ないルートも暗いと一変、道をロストし易いので要注意な感じ。
04:46(2693m) 日の出時刻はガスの中
日の出時刻を迎えたが太陽はガスの中だった。結局本山行中はご来光、日の入りともに見えず仕舞い。
05:11(2839m) 黒部五郎山頂
出発から2時間で山頂着。ガスが無ければ笠、もしかすると槍~西穂の稜線も見えるのだろうが今回はガスにやられた。山頂には既に8名の登山者が到着していた。みなさん早いですね。稜線ルートは私だけで他の方はカールルートだそうだ。暗いので景色は不明ながらも残雪のカールに包み込まれる様な感覚だったとのこと。稜線ルートは取り付きが急登、上部は両手を使う岩場があるのでストックは使わずに出発した方が面倒が少ないだろう。
05:38(2774m) カールコース
よく見えない…。
06:01(2601m) 北ノ俣岳までの平らな稜線
黒五山頂でお会いした富山の4名パーティとご一緒させて頂きながら北ノ俣岳を目指す。ガスも切れ黒五の山頂も今なら眺望バッチリだろう。ちと残念。
06:27(2586m) 稜線は長い
北ノ俣だけが大分近づいてきた。
06:55(2493m) 見覚えのある道
2010年6月に太郎小屋から往復した時は大半が残雪歩きだったがこの付近は雪が解けたハイマツにいく手を遮られ切れ間を探して右往左往した記憶がある。懐かしい。
08:15(2661m) 北ノ俣岳山頂
黒五テント場から5時間。薬師沢~水晶~鷲羽~三俣蓮華~黒五の時計回り周回を達成。初日はテントを担いで25kmと歩き過ぎの計画だったが、北ア最後の百名山水晶岳を登頂、膝痛も無く、充実の山歩きだった。さぁ、後は飛越トンネルまでの地図タイム4時間20分の長い下りが待っている。気を抜いて怪我をしない様に気持ちを引き締めて下山開始。
09:17(2133m) 池塘
12時40分、出発から9時間半で飛越トンネル着。北ノ俣岳からは休憩込みで4時間ちょいとほぼ地図タイム。長い下り特に避難小屋から先は足の裏痛と肩痛との戦いでガンバだった。
今回は槍~西穂の大キレット、ジャンダルムを急遽変更しての山行だった訳だが、ルート上から槍方面を見る限り大きな天候の崩れや雷はなく変更する必要はなかった。まぁ結果論なので今後も出発直前であっても防げるリスクは防ごうと思う。
備忘録
・電子機器のバッテリ消費量(2泊3日)
GPS 単3充電池2本 毎日交換
デジカメ 専用充電池 交換無し(予備電池も不携帯)
携帯電話 専用充電池 常時電源OFF、交換無し
ヘッドライト 単3充電池3本 交換無し
・水場
ルート上に豊富のため持ち歩く量は低減出来る。
今回:飲料用1L容器、予備プラティパス2L容器に0.5Lほど
飛越新道避難小屋 流水使い放題
薬師平太郎小屋 〃
薬師沢小屋 〃
雲ノ平テント場 〃
三俣山荘テント場 〃
黒五テント場 〃
・気温
13℃~おおよそ25℃くらい
※最高気温は私の感覚です
※寝袋 KR-S-M300/karrimor(薄手の3シーズン用)
・行程
初日の25km12時間はテント装備を背負って歩くにはハードである。天候、体力、進捗時間を勘案し薬師沢小屋泊を判断すること。薬師沢小屋から雲ノ平まで3時間半は必要。もう1泊出来るなら初日は太郎平テント場、二日目に雲ノ平で宿泊すれば丁度よい。雲ノ平に早く着けば庭園散策の時間も取れる。
※秋以降の日が短い期間は3泊必須です
前日19時までに有峰林道ゲートを通過出来る、かつ、1800円負担もOK、であれば飛越トンネルよりも折立から入山した方が行程は楽になる。前日19時までに通過出来ないと翌朝6時通過となり入山は7時を過ぎてしまう。太郎平泊なら問題ないが雲ノ平まで足を伸ばすのはリスクが大きくなる。
・難所
水晶小屋から山頂へのアプローチ、ワリモ北分岐から鷲羽の途中、黒五の稜線ルート、に危険箇所あり。もちろん一般的な難所レベルであり3点確保で慎重に処置すれば問題ない。
・スパッツ
必携。飛越新道の「ぬかるみの道」で裾が泥だらけになる。宿泊登山の場合、テントや寝袋を汚さないためにスパッツは常時装着がオススメ。


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